卒FITを迎えた我が家では、余剰電力の活用方法としてEcoFlow(エコフロー)のポータブル電源を導入しました。
導入の経緯と簡単な理由は以下の記事に記載しました。
今回はポータブル電源を導入するにあたり、同時に検討した「おひさまエコキュート」(昼間の余剰電力でお湯を沸かす仕組み)との比較結果と我が家での判断を記載してみたいと思います。
我が家の現在の状況
我が家は現在オール電化ではなく、給湯には都市ガズのエコジョーズを利用しています。
太陽光発電システムを付けているにも関わらず、オール電化ではない、ちょっと珍しい家です。
オール電化では防災面で少し不安があったこと、都市ガスが使える地域であったこと、比較的火を使った料理が好きだったこと、エコキュートが元々あまり好みでなかったこと、などがガス併用にした理由でした。
電気料金プランは、オール電化向けのものを利用していて、昼間の電気代が高い代わりに、深夜帯の電気代が安く済むものです。
ですので我が家の希望としては以下の動きになります。
- 昼間の高い電気は出来るだけ買わない
- 昼間の余剰電力はなるべく売電せずに自家消費する
- 夜間の安い電気は使ってもいいけど、出来るだけ節約したい
エコキュートとポータブル電源の比較
きちんと余剰電力を活用出来るかどうか
エコキュートもポータブル電源も余剰電力を活用することは出来ますが、余剰電力をどれだけをうまく活用出来るか?という部分で違いがあります。
エコキュートの場合
まずエコキュートの場合ですが、各社で「おひさまエコキュート」という機能を搭載した機種があり、昼間の余剰電力が多く発生する時間帯にヒートポンプでお湯を沸かす事ができます。
ただしこれは「余剰電力が多く発生する時間帯」にヒートポンプを稼働させるだけに過ぎず、ソーラーパネルが発電していない(余剰電力が無い)場合には、昼間の高い電気料金でお湯を沸かしてしまう可能性があります。
ダイキンさんのページにもはっきりと書いてあります。
ご使用に関する注意事項
ダイキン おひさまエコキュート
・お客様でお使いの太陽光発電システムが別途必要です。
・電力契約につきましては、ご契約される電力会社へお問い合わせください。
・太陽光発電の余剰電力で足りない場合は、通常の電力が使用されます。
また、天気予報と連動して沸き上げのタイミングを制御できるものもありますが、こちらも結局予想ですので、昼間の高い電気料金でお湯を沸かしてしまう可能性があります。
*気象情報会社から提供される気象情報に基づいて沸き上げを行います。
ダイキン おひさまエコキュート
*自家消費時間帯の中で沸き上げのタイミングを調整します。
*天気予報通りにならなかった時は、購入する電力が増える場合があります。
私が調べた範囲では、残念ながらエコキュートできちんと余剰電力のみを利用してお湯を沸かす方法は無さそうでした。
EcoFlow(エコフロー)のポータブル電源の場合
ポータブル電源は、それ単体では余剰電力のみを充電するといった制御はできません。
充電の開始時間と終了時間のスケジューリングや充電スピード(充電電力)の設定はスマホアプリから行えますが、スケジュールに設定した時間にソーラーパネルが必ず発電している保証はありません。
ソーラーパネルが発電していない(余剰電力が無い)場合には、昼間の高い電気でバッテリーを充電してしまう可能性があります。
対応策として、Nature Remo E Lite という簡易HEMS機器と組み合わせることで、余剰電力のみを利用して充電する事が可能となります。
ただし余剰電力のみを利用する充電の設定は、スマホアプリなどから簡単に設定するようなことは出来ません。
(出来る方法も思いついてはいるのですが、制限が多くなります)
ではどうするのかですが、プログラミングが必要になります。
詳細は他の記事で書こうと思いますが、簡単に手順を記載すると以下のようなプログラムになります。
- Nature Remo E Lite から 家の余剰電力(売電量)を取得する
- EcoFlow(エコフロー)のポータブル電源から 現在の各種情報(充電状況など)を取得する
- 上記2つの情報から、余剰電力で充電出来る状況かどうかや、適切な充電スピード(充電電力)を計算する
- EcoFlow(エコフロー)のポータブル電源に 上記で計算した充電設定を反映する。
プログラミングの知識が必要ということで、敷居は高いと思いますが、私にはたまたま知識があったためこの方法を実現することが出来ました。
なので皆さんに胸を張っておすすめ出来るかと言うと、悩ましいところです。
有効活用できる余剰電力量の違い
エコキュートとポータブル電源では、余剰電力を利用するのに必要な電力量に結構な差があります。
これはエコキュートが200vで動くのに対し、ポータブル電源は100vで充電する、ということの違いにあります。
エコキュートの場合
エコキュートでお湯を作るためには200v電源が必要です。
200vということはそれだけ消費電力が大きいということです。
一般的にエコキュートの消費電力は 1,000〜1,500Wh と言われています。
つまり太陽光発電の余剰電力のみで稼働させるためには、当たり前ですが余剰電力(売電)が同じく 1,000〜1,500Wh ある状態でないといけないということです。
我が家で導入している太陽光発電システムは、発電容量の最大が2.9kWしかなく少なめです。
曇りの日などは発電量が1,000Wh以下のことはザラにあります。
この状態だと昼間にエコキュートを稼働させたとしても、意図せず買電が発生することになります。
またヒートポンプでお湯を作るためにはそれなりに時間も必要ですよね。
余剰電力が1,000Whを超える状況が長時間続く必要がある訳ですが、我が家の小規模環境では厳しそうだなと、これもエコキュートを見送った要因です。
EcoFlow(エコフロー)のポータブル電源の場合
ポータブル電源の充電はAC100vで行います。
スマホアプリ設定できる充電スピード(充電電力)は200w~ となっています。
つまり200wの余剰電力(売電)があれば、ポータブル電源の充電を開始できます。
エコキュートでは1,000w以下の余剰電力で沸き上げを開始した場合、足りない分は買電する状態となってしまいますが、ポータブル電源であれば1,000w以下の余剰電力でも、買電することなく蓄電することが出来ます。
さらにスマホアプリでは200w~しか設定できない充電スピードですが、プログラム上からの設定であれば200w以下の設定にすることも可能でした。
(ただいくら少なく設定しても、実際には80w~100wでの充電となるようです)
導入費用の違い
エコキュートの場合
エコキュートの導入費用は概ね40万~50万円といったところでしょうか。
追加工事が必要になる場合も考慮すると、~60万円くらいかもしれません。
ただ給湯器はポータブル電源と違い、生活する上では必ず必要なものです。
寿命が来たら買い替えるのは当たり前なので、ポータブル電源と費用を比べるのもおかしい気もしています。
エコキュートの購入費用は必要経費と考えるのであれば、タダで余剰電力の自家消費をある程度効率化出来るとも言えそうです。
EcoFlow(エコフロー)のポータブル電源の場合
ポータブル電源は選ぶ機種、拡張バッテリーの数により導入費用が変わります。
我が家の場合は以下でした。
EcoFlow(エコフロー)ではよくセール(キャンペーン)を実施していて、その時の値段になります。
品名 | 単価 | 数量 | 金額 |
DELTA2MAX専用エクストラバッテリー | ¥74,800 | 2 |
¥149,600 |
EcoFlow DELTA 2 MAX | ¥139,761 | 1 |
¥139,761 |
合計金額 ¥289,361
他、Nature Remo E Lite は 14,800円です。
災害時の備えの違い
エコキュートとポータブル電源では、そもそも貯めておけるものが違いますよね。
防災の観点としてどちらを優先するのかで選ぶ選択もあるのかなと思います。
エコキュートの場合
エコキュートで防災といえば、タンク内のお湯を非常用水として利用できる点です。
これは卒FIT(余剰電力の自家消費)とは直接関係ありませんが、災害時に水が確保できるかどうかは重要です。
しかもエコキュートのタンクにあるのは温かいお湯ですからね。
飲み水として利用できないとしても、体を洗ったり、洗濯など、色々使い道があると思います。
煮沸消毒したり、浄水フィルターを通して、飲用水として利用することも不可能ではありません。
生きるか死ぬかの極限状態に陥った場合には、電気なんかより水のほうがより価値があるという考え方も出来ます。
EcoFlow(エコフロー)のポータブル電源の場合
エコキュートと違い水は貯めれませんが、電気を貯めておくことが出来ます(当たり前ですね)
電気があれば停電したとしても、冷蔵庫やエアコン、電子レンジなどを動かすことが出来ますし、現代社会ではなくてはならないスマートフォンも充電することが出来ます。
この記事を見てくれている皆さんは、おそらく自宅に太陽光発電を設置済みだと思います。
停電したとしてもパワコンを自立運転すれば、ソーラーパネルで発電した電気をポータブル電源に充電することが出来ます。
ソーラーパネルで発電出来ない場合でも、車から充電することも出来ます。
ポータブル電源があれば、災害時でもほぼほぼ電気に困らない生活がおくれるのではないかと思います。
まとめ
- エコキュートは、太陽光発電の余剰電力のみをうまく活用することは出来ない
- ポータブル電源も、それ単体では太陽光発電の余剰電力のみをうまく活用することは出来ない
- エコキュートの場合は電気料金プランをオール電化向けのものから、一律料金(フラット)なものに変更したほうが良さそう
- EcoFlow(エコフロー)のポータブル電源の場合は Nature Remo E Lite と プログラミング を組み合わせる必要がある(詳細は他の記事で)
- プログラミングが不要な簡易的な方法もあるが、制約が増える。
- 導入金額と防災観点の考え方については、皆さんそれぞれで検討を
我が家の場合には、太陽光発電の規模が小さいこと および 給湯器は現状ガスのエコジョーズを利用していること から EcoFlow(エコフロー)のポータブル電源 のみを導入しています。
改めて記事にまとめていて思ったのは、エコキュートの昼間稼働もポータブル電源も、どちらも余剰電力を効率よく自家消費する良いスキームだなという事です。
我が家と違い、太陽光発電の規模がそれなりにある家庭であれば、どちらも導入したらより効率的なのではないかと思ってしまいました。
(両方導入したとしてもメーカー製の家庭用蓄電池を設置するより安いと思います)