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《卒FIT》ポータブル電源自動充電システム – メリット/デメリット

住宅関連
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以下の記事で、私が構築したポータブル電源自動充電システムのシステム構成を紹介しました。
今回は、ポータブル電源自動充電システムを実際に運用してみて感じたメリットとデメリットを記載してみます。

どんなものにもメリットだけでなくデメリットもあると思っています。
もしポータブル電源自動充電システムに興味を持っていただけたなら、デメリットも十分把握してもらいたい思いで、この記事を記載します。

卒FITを迎えた我が家がポータブル電源を導入した経緯は、以下の記事に記載していますので、よかったら覗いてみてください。

  • 本記事を参考に同等の機能を実現しようとする場合、どのような不具合が発生しようとも責任は負えません。
  • あくまで自己責任の範囲で作業してください。

システム構成図

はじめにポータブル電源自動充電システムの構成(全体像)を載せておきます。

メリット

導入費用の安さ

我が家でポータブル電源自動充電システムを構築するのに掛かった費用は以下の通りです。
EcoFlow(エコフロー)ではよくセール(キャンペーン)を実施していて、その時の値段になります。

品名 バッテリー容量 単価 数量 金額
DELTA2MAX専用エクストラバッテリー 2kwh ¥74,800 2 ¥149,600
EcoFlow DELTA 2 MAX 2kwh ¥139,761 1 ¥139,761

総容量 6kwh  合計金額  ¥289,361

他、ポータブル電源自動充電システムで利用する Nature Remo E Lite は 14,800円、SwitchBot プラグミニ は 1,980円 です。

上記の構成であれば、すべての費用を合わせたとしても 306,141円 です。
この導入費用の安さは、我が家にとっては大きなメリットでした。

拡張バッテリー(エクストラバッテリー)が不要な場合や、容量の少ない DELTA 2 を選択すれば、もっと安く導入することも可能です。

電気工事は不要

このポータブル電源自動充電システムは、物理的には家庭のコンセントにプラグを刺すだけですので、電気の知識がまったくなくても設置できます。
当然、電気工事士の資格もいりません。

自分で設置できますので、わざわざ複数の業者から相見積もりを取って、対応の電話やメール対応に振り回されるようなこともありません。
工事も不要ですし、価格も明瞭です(ボッタクリに遭う可能性も低いです)

他人の手を借りずに導入できる点は、私にとってはメリットでした。

日常生活、レジャー、災害時、引越など、いつでも有効活用できる

ポータブル電源の利用方法としてよく言われるのが、満充電にした状態で電源をOFF、もしくは省電力モードのような状態にして、災害に備えて保管しておくというものです。
そのうえでレジャー(キャンプや車中泊)の時に持ち出して使うことも出来ますという記載が多いかと思います。
ただ、普段使えないのは勿体ない気がしてしまいますよね。

ポータブル電源自動充電システムがあれば、上記とは別に普段の日常生活でもポータブル電源を有効に活用することが出来ます。
普段はソーラーパネルで発電した電気のうち、家庭で使い切れずに余った余剰電力を自動でポータブル電源に充電することが出来ます。

余剰電力で充電した電気は、夜間や、雨、曇りの日などソーラーパネルが発電していないときに放電し、電力会社から電気を買うこと無く、家電を動かすことが出来ます。

設置型の家庭用蓄電池とは違い、ポータブルならではの特徴を活かして、レジャー(キャンプや車中泊)で利用できるのはもちろん、災害時にも例えば1階から2階に移動することで浸水被害を受けること無くポータブル電源の利用を継続できる可能性も高いです。

避難所などに持っていくことも出来ますし、多くの充電方法に対応しているので、災害時にも充電しながら利用を続けることが出来るかもしれません。

  • 家の太陽光発電システムの自立運転コンセントからの充電
  • 別でソーラーパネルがあれば、そのソーラーパネルからの充電
  • 車のシガーソケットからの充電
  • AC出力コンセントが設置されている車であれば、車のコンセントからの充電
  • 別売りのオルタネーターチャージャーの用意があれば、車のオルタネーターからの充電
  • 別売りの発電機があれば、その発電機からの充電

ポータブル電源は引っ越しの際にも有効だと思っています。
設置型の家庭用蓄電池では引越し先に持っていくことは出来ませんが、ポータブル電源であれば出来ますし、引越し先にも太陽光発電システムが設置されていれば、ポータブル電源自動充電システムの利用もできます。

プログラミングさえ出来れば、全て自分の好きなように制御できる

そもそもプログラミングが出来ないとダメというのはデメリットではあるのですが、逆に言えばプログラミングさえ出来れば、全て自分の思い通りにポータブル電源を制御できるということになると思います。

私がメインで記載している余剰電力の充電だけでなく、例えばプログラム上で明日の天気を取得して、雨や曇りで発電が見込めない場合には、安い深夜電力でポータブル電源を一定の容量まで充電しておく、といったことも可能なはずです。

季節ごとに春、夏、秋は余剰電力の充電を優先し、雪の降る冬は深夜電力で充電するといった制御も考えられます。
もしプログラム上で災害情報が取得できるのであれば、そのタイミングで停電に備えてポータブル電源を満充電するのも良さそうです。

その人の想像次第で、いかようにも制御可能な点はメリットかなと思います。

デメリット

プログラミングが必要

ポータブル電源自動充電システムの最大のデメリットは、やはりプログラミングの知識が必要(自分で制御プログラムを組む必要がある)というところかと思います。

たまたま私はプログラミングの知識があったから良かったですが、そもそもプログラミングなんてしらないよ!という人は当然多いはずです。

私自身が電気工事の知識(資格)が無くて、自作(DIY)での蓄電システムの作成を諦めたのと同じように、プログラミングを組まないといけないというのは、私が思っている以上に知識のない方たちにとっては高いハードルになるのかなと…

さらに言うのであれば、自分でプログラミングをするということは、当然そのプログラミングに不具合があった場合には自分で修正対応しないといけません。
よほどの天才でない限り、不具合0で完璧に制御プログラムを書き上げるというのは難しいです。
ある程度のところで妥協も必要になる気がします。

インターネット接続が必須

今回私が考えた自動充電システムの構成では、ポータブル電源、スマートプラグ、簡易的HEMS機器がそれぞれインターネットを経由して制御プログラムと通信を行います。

そのため当然、インターネット接続は必須となります。
一定間隔で複数機器の通信が行われるため、光回線など比較的高品質で安定したネット回線が望ましいです。

モバイル通信(SIM)など従量課金契約で利用してしまうと、あとで高額な請求が来る可能性があるためご注意ください。

システムを構成する機器に1つでも不具合が出るとうまく動かない

上述のシステム構成図にある通り、ポータブル電源自動充電システムでは、複数の機器を組み合わせて充電の制御を実現しています。

1つでも機器に不具合が出ると、正常に充電制御が行えなくなります。

例えば、簡易HEMS機器のNature Remo E Liteに不具合があると、家全体の買電量、売電量が把握できないので充電をONにすべきかOFFにすべきかの判断が行えなくなります。

スマートプラグのSwitchBotプラグミニに不具合がある場合には、ポータブル電源への物理的な通電(家庭用コンセントからの通電)のON/OFFが出来なくなります。

Nature Remo E Liteについては、過去にサーバー障害によりAPI通信が行えなくなる事象が発生しています。

また、ポータブル電源、スマートプラグ、簡易的HEMS機器のそれぞれの会社が提供してくれているWebAPI(インターネット経由で機器を操作する機能)を利用していますが、5年後、10年後も各社がWebAPIを提供し続けてくれている保証はありません。
どこかのタイミングでサービスが終了したり、サポートが打ち切られる可能性があることは頭に入れておく必要があります。

完璧に余剰電力のみを充電出来るわけではない

ポータブル電源の充電をONにするかOFFにするかは、制御プログラムが実行されたタイミングで余剰電力(売電)があるかどうかで判断します。

余剰電力(売電)が一定量発生している状態であれば充電をONにする、といった制御となるため完全に売電を0にすることは出来ません。
同じく、買電についても完全に0にすることは出来ません。

自動充電システムの制御プログラムは一定間隔で実行され、そのタイミングでの判断となります。

例えば1分間隔で動作させる場合、次に動作するまでの1分間は待ち状態(制御できない時間)になります。
この制御プログラムが実行されるまでの間の待ち時間にも、ソーラーパネルの発電量は随時変動していますし、家庭で消費する電気の量も変動しています。

次に制御プログラムが動くまでの間に、ソーラーパネルの発電量が想定以上に増えれば当然売電されますし、家庭の消費電力量が一時的にでも増えれば買電することになります。

株式投資の世界では「頭と尻尾はくれてやれ」といった格言がありますが、それと同じように完璧な充電制御というのは出来ません。
それでも8割?9割?程度の余剰電力を自動で充電制御出来るのですから、私としては満足しています。

ポータブル電源に余剰電力を充電する際にどうしてもロスが発生する

ポータブル電源自動充電システムでは、余剰電力の充電はAC100vコンセントから行います。

余剰電力をポータブル電源へ充電する場合には、DC(直流)↔ AC(交流)の変換ロス(以下の2回)がどうしても発生してしまいます。

  1. ソーラーパネルで発電した DC(直流)の電気を、パワーコンディショナで AC(交流)に変換する際のロス
  2. パワーコンディショナを介して家庭の AC(交流)コンセントから出力された電気を、ポータブル電源の DC(交流)バッテリーに充電する際の変換ロス

このロスが許容できない場合には、ハイブリッド型の家庭用蓄電池を導入するか、自作(DIY)で蓄電システムを構築するしかないかと思います。

ポータブル電源の最新機種は利用できない(と思われる)

ポータブル電源自動充電システムでは、充電の自動制御を行うため EcoFlow Developer Platform(開発者プラットフォーム)の利用が必須です。

他の記事でも記載していますが、EcoFlowのポータブル電源の中で開発者プラットフォームに対応している機種は公式ドキュメントのページを見る限り、本記事執筆時点では以下だけとなっています。

  • DELTA PRO
  • DELTA 2
  • DELTA 2 MAX

直近発売されたDELTA Pro3やDELTA 3 Plusなどは、まだ開発者プラットフォームに対応していないと思われるため、ポータブル電源自動充電システムでは利用できません。
おなじくRIVERシリーズも利用不可となります。

2024/09/13
 Developer Platform(開発者プラットフォーム)の公式ドキュメントに以下の2機種のページが追加されていることを確認しました!

  • DELTA Pro Ultra
  • DELTA Pro 3

ポータブル電源単体では1,500w(1.5kw)までしか充電できない

ポータブル電源のAC100vでは、最大1,500w(実際は1,300wほど)での充電までしか出来ません。
ですので1,500w以上に発電した余剰電力は売電するしかなくなります。

例えば我が家の場合には約3kwhのソーラーパネルで発電しています。
ですので最大で3,000w発電されるわけですが、半分の1,500wはポータブル電源に充電できますが、もう半分は自家消費は出来ず、売電することになります。

捨てるわけではなく、単価が安くても売電は出来るので、無駄になっているわけではありません。

これを回避するためには最大入力の大きなポータブル電源を選ぶか、ポータブル電源を複数台で運用するなどの考慮が必要かと思います。

直近発売された DELTA PRO 3 であれば、200V – 3,000W での充電に対応していますが、ポータブル電源自動充電システムで利用する EcoFlow Developer Platform(開発者プラットフォーム)には未対応と思われます。

2024/09/13
 Developer Platform(開発者プラットフォーム)の公式ドキュメントに DELTA Pro 3 が追加されていることを確認しました!

充電コンセントのON/OFFが頻繁に行われる場合がある

ポータブル電源自動充電システムでは、Google Apps Script(GAS)上で制御プログラムを定期的に起動し、充電のON/OFF判断を行います。

各家庭でそれぞれ制御する条件に違いはあると思いますが、我が家の場合には現状、20秒間隔で制御プログラムを起動させています。

20秒に1回、充電ON/OFFの判断を行い、充電を開始する場合にはスマートプラグ(SwitchBotプラグミニ)の通電をONにします。
逆に充電を停止する場合にはスマートプラグ(SwitchBotプラグミニ)の通電をOFFにします。

つまり我が家の制御プログラムの条件だと、最悪20秒に1回、毎回ポータブル電源の充電プラグを手動で抜き差しするのと同じ状態になる可能性があるということです。
これは20秒に1回、通電状態からの停電 または 停電からの復旧 と同じことがポータブル電源内部で起こる可能性あるということです。

今のところ我が家では問題なく稼働していますが、この頻繁なプラグのON/OFFがポータブル電源の寿命を縮めないとも言い切れません。

ポータブル電源と商用電源の切替時に瞬断、瞬停が発生する

ポータブル電源の場合は、機種によると思いますが 瞬低・瞬停・瞬断 が発生する可能性があります。
私が購入した EcoFlow DELTA 2 MAX の場合、EPSという機能が搭載されていますが完全なUPSではありません(切り替えは30ms以内とのこと)
商用電源とバッテリー出力が切り替わる際には、一瞬テレビがチラついたりします。
(一瞬電気が途切れているということだと思います)

ですのでパソコンなどの精密機器を接続する際には注意が必要です。
この点は、利用してみて少し残念な点でした。

対策としては別途UPSを導入するか、切替速度の早いポータブル電源を追加で導入するなどになるかと思います。

例えば直近発売された DELTA PRO 3 や DELTA 3 Plus であれば、切替速度は10msとのことです。
ただし、ポータブル電源自動充電システムで利用する EcoFlow Developer Platform(開発者プラットフォーム)には未対応と思われます。

2024/09/13
 Developer Platform(開発者プラットフォーム)の公式ドキュメントに DELTA Pro 3 が追加されていることを確認しました!

AC200vの家電製品は利用できない

ポータブル電源は『ポータブル』という名前の通り、家の分電盤に繋いで固定するようなものではありません。
そのため基本的に、利用できるのはコンセントにプラグを挿して利用する家電(テレビや電子レンジなど)だけになります。
家に備え付けられている照明や換気扇などプラグが無いものには利用できません。

さらにAC200vで動くような大型のエアコンやエコキュート、IHクッキングヒーターなどもポータブル電源では動かせないことが殆どです。
200v出力ができるポータブル電源も出てきてはいますが、オプション品が必要だったり、100vと200vの同時出力が出来なかったりとまだ使い勝手は良くないのかなと思っています。

消費電力の多い家電を同時に利用することは難しい

ポータブル電源では出力できる最大電力量に制限があります。
ですので出力上限オーバーを少し意識して生活する必要があります。

我が家で導入した DELTA 2 MAX の場合、最大出力は2,400Wとなっています。
ですので例えば、電子レンジ(1,500w)と コーヒーメーカー(1,500w)を同時に利用したりすると、出力の上限を超えて、ポータブル電源が出力を止めてしまいます。

消費電力の多い家電を同時に利用したいようであれば、最大出力の大きなポータブル電源を選ぶか、ポータブル電源を複数台で運用するなどの考慮が必要かと思います。

直近発売された DELTA PRO 3 であれば、3,600W までの出力に対応していますが、ポータブル電源自動充電システムで利用する EcoFlow Developer Platform(開発者プラットフォーム)には未対応と思われます。

2024/09/13
 Developer Platform(開発者プラットフォーム)の公式ドキュメントに DELTA Pro 3 が追加されていることを確認しました!

まとめ

以上、私が構築したポータブル電源自動充電システムのメリットとデメリットをあげてみました。

このシステムに興味を持っていただけたなら大変嬉しく思いますが、ここまで多くのデメリットを記載してもなお、導入しようと思う人がどれだけいるでしょうか。

もし同じようなシステムの導入をお考えであれば、「こんな筈では無かった…」とはならないように、上に記載したデメリットを十分に理解したうえで導入を検討してください。

私個人としては、デメリットがあったとしてもポータブル電源と、この自動充電システムを導入したことに後悔は微塵もありません。
毎日家族でシステムの稼働状況(充電状況)を見ながら、「太陽が出てきたから充電始まったね!」、「今日は雨だから全然充電できないね…」などと会話する機会も増えて、嬉しく思っています。

  • 本記事を参考に同等の機能を実現しようとする場合、どのような不具合が発生しようとも責任は負えません。
  • あくまで自己責任の範囲で作業してください。
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